熱負荷計算

熱負荷計算とは?計算方法や注意点を解説

宮本 知典

九州大学工学部卒業。輻射式冷暖房「F-CON」の製品開発や国内外の熱負荷計算業務に従事。

輻射式冷暖房を最大限活用するためには、事前の温熱環境の設計が重要です。具体的には、導入工程前に正しく熱負荷計算することが必須の成功条件となります。

熱負荷計算とは、建物から出入りする熱の計算のことを指し、輻射式冷暖房導入の際に必ず耳にする言葉です。

本記事では、熱負荷計算の計算方法や、多くの人が誤解しているポイントも紹介しますので、ぜひ参考にされてください。

熱負荷計算とは

「熱負荷計算」とは、建物から出入りする熱を計算することです。FUTAEDA株式会社では輻射パネルの種類や枚数を適切に選定するために行います。

外気温・湿度・日射量など、環境が変われば熱の収支は異なります。輻射式冷暖房の弱点である放熱量の低さを補うためには、建築条件や利用状況をヒアリングし、建物の熱の収支をしっかりと把握する工程が欠かせません。

熱負荷計算の計算方法

熱負荷計算の計算方法として、国土交通省大臣官房官庁営繕部設備・環境課が監修している「建築設備設計基準」というものがあります。約1,000ページあるこの書籍は、例年3年に1度アップデートされています。

建築設備設計基準(令和3年版/国土交通省)

熱負荷計算のソフトウェア

「建築設備設計基準」に基づいた熱負荷計算用ソフトウェアも発売されています。

建物の断熱性能や省エネ性能でてくる指標

建物の断熱性能や省エネ性能でてくる指標には、下記のようなものがあります。

Q値(熱損失係数)

Q値は断熱性を表す指標です。室内と室内の温度差により入ってくる熱を計算します。Q値の数値が小さい家ほど断熱性が高いといえます。

C値(相当隙間面積)

C値は、気密性を示した指標です。1平方メートルあたりに存在する隙間の面積を示す数値です。

UA値(外皮平均熱貫流率)

UA値は、家の外にどれくらい熱量が逃げやすいのかを示す数値です。室内と室内の温度差により入ってくる熱を計算します。

ηAC値(平均日射熱取得率)

窓から直接侵入する日射による熱と、窓以外から日射の影響で熱伝導により侵入する熱を評価した、冷房期の指標です。

単位日射強度当たりの日射により建物内部で取得する熱量を冷房期間で平均し、外皮面積の合計で除した値となります。

指標を扱う上での注意点

上記の指標は、家の断熱性や気密性および窓からの熱の出入りを数値化したものです。

例えば、Q値やUA値だけで省エネ性や温熱環境が良い建物だと判断されがちですが、これらはあくまでも室内と室内の温度差により入ってくる熱に限定された条件であることに注意すべきです。

もちろん、これらの値が低いに越したことはないのですが、特に夏の建物の熱の出入りの多くは窓などの開口部からの日射による熱が多いので、ηAC値もQ値やUA値同様に重要です。

断熱・省エネ性能の指標値 ≠ 熱負荷計算

上記のUA値やQ値やηAC値などは、もともと日本の全国の建築物の省エネ性能や断熱性能の基準を図るためにでてきた数値です。

そのため、あくまでもその建物の性能の平均値であり基準値になりますので、熱負荷計算の途中過程でてくる数値とは言え、熱負荷計算にはしかない要素が多数あります。

輻射パネルの導入を検討するにあたっては、基準値ではなく、建物の熱の出入りを場所による偏りを把握した上で設計しないと温度ムラの要因となります。

そのため、しっかりと熱負荷計算をした上でより詳細値を把握して設計することが重要です。

FUTAEDAの熱負荷計算の考え方

業界標準の熱負荷計算は、国土交通省監修の「建築設備設計基準」をもとに実施されています。

しかし、この基準の計算手法は、夏場は太陽の高度が高いため日射の影響が低く、秋口にさしかかった際に太陽が少し下がったときの南面の日射量が少なくなる傾向があるため、熱負荷計算の結果が実際の環境と比較して低めに算出される可能性があります。

そこでFUTAEDA株式会社では、上記の基準に加えて、公益社団法人 空気調和・衛生工学会で行われているより高度な計算を加味した熱負荷計算を独自ソフトウェアを2020年より独自開発し、データベース化を行っています。

そのため、より現実に近い温湿度データ、観測値の直散分離による日射データなどを用いることで、より厳密な精度の熱負荷計算を実施しています。

特に、大きい窓から入ってくる熱の量は厳密に計算をしております。なぜなら、開口部からの熱流入が住宅の熱流入の3分の2を占めるため、全体に与える影響が大きいからです。

これにより、無駄のない温熱環境のデザイン設計が可能になり、適切な輻射パネルの種類、枚数の選定が可能になります。

まとめ

事前に正しく熱負荷計算することは、輻射式冷暖房を最大限活用するために必要な工程です。

しかし、この工程が蔑ろにされていたり、正しく計算できていなかったため、輻射式冷暖房の効果を発揮できずエアコンを増設するといったケースにつながっていることもあります。

そこで、FUTAEDA株式会社では輻射式冷暖房を導入検討されている企業様へ、無料で温熱環境コンサルティングを承っております。

  • 熱負荷計算など、事前の温熱環境設計に関する知見が無い
  • 輻射式冷暖房を検討したいが、有効活用できるかわからない
  • 輻射式冷暖房を導入したいが、どのメーカーにすべきか判断できない

上記のような課題やお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

自社研究施設を持ち、数値的根拠を重視して研究開発に臨む当社ならではの知見で、より良い空間づくりをサポートいたします。

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