全館空調

全館空調とは?メリット・デメリットとメーカーの選び方を解説

西山 大貴

九州大学工学部卒業。輻射式冷暖房「F-CON」の製品開発や国内外の熱負荷計算業務に従事。

全館空調は家全体を空調できることから、床暖房の次の空調システムとして注目され始めています。

住宅展示場に行くとほぼ全てのハウスメーカーで全館空調が導入されていますが、インターネット上では「全館空調を導入して後悔した」という声を少なからず目にします。

しかし、デメリットや後悔の声がすべての全館空調システムにあてはまるわけではありません。

全館空調には様々なタイプあるため、事前にその特徴を把握していなかったり、使い方を誤ってしまうことで、 ネガティブなレビューにつながってしまうケースが多いのです。

本記事では、事前に知っておくべき全館空調の基礎知識から、メリット・デメリットの考察、さらには全館空調メーカーの選び方までをご紹介します。

全館空調システムとは

全館空調は、居室だけでなくトイレや廊下といった非居室を含む建物全体を常時換気・空調するシステムです。

部屋ごとに冷暖房を行う個別空調(エアコンなど)に対し、全館空調は家全体を一括管理することで温度ムラが解消され、ヒートショックといった寒暖差による健康リスクを回避できるのが大きな特徴です。

全館空調を導入して後悔しないために

全館空調のメリットを享受するためには、導入する建物に一定以上の気密性・断熱性が求められます。

リフォームを検討されている方は、住宅性能が低いまま全館空調を導入すると、「冷暖房の効きが悪い」「電気代が高くなった」といった使用感につながってしまいますので、十分にお気を付けください。

全館空調のメリット

全館空調のメリットは下記の3点です。

  1. 家全体を均一温度に保てるので快適&健康的
  2. 空気環境を清浄に保てるので衛生的
  3. 内観外観の美観を損ねず、間取りの自由度が高い

家全体を均一温度に保てるので快適&健康的

全館空調は家全体を空調するため、部屋ごとの温度ムラが少なく過ごすことができます。

温度ムラが少ないことは快適に過ごせるだけでなく、冬場のヒートショックや、夏場の室内での熱中症といった健康リスクの予防も期待することができます。

温度ムラによる健康リスクとは

個別空調(エアコンなど)は冷暖房の届く範囲に限界があり、真冬に暖房がついている場所とそうでない場所の温度差は10℃以上あると言われています。

※住宅性能(断熱性・気密性)や窓などの開口部の条件に依ります

※参考:省エネ住宅とは?〜省エネ住宅の性能〜 / 国土交通省

暖かい部屋から寒いトイレや浴室への移動で急激に血圧が低下することが原因で起こるヒートショックは、健康被害を引き起こす要因となることもあります。

※参考:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!/ 消費者庁

空気環境を清浄に保てるので衛生的

全館空調は常時換気・空気清浄できるため、ホコリや花粉を除去した清浄な空気を保つことができます。

全館空調には、高気密住宅で効果を発揮する「第1種換気システム」が装備されていることが多く、メーカーによっては空気清浄機能を備えています。

建築基準法改正のポイント

2003年の建築基準法改正により、すべての住宅に24時間換気システムを導入することが義務化されました。

住宅の高気密、高断熱化が進んだことで建材、部材に含まれる化学物質や二酸化炭素、湿気が室内に留まりやすくなり、シックハウス症候群などの対策のために設置が義務化されたのです。

※参考:建築基準法に基づくシックハウス対策について / 国土交通省

内観外観の美観を損ねず、間取りの自由度が高い

全館空調の室内機は、空調室または収納内に設置されますので室内に露出物がありません。

室内に露出物がないことでインテリアの美観を損ねず、エアコンの大きさに左右されずに開放的な間取りを作ることもできます。

また、室外機を何台も外に置く必要がないため、家の外観もスッキリさせることができます。

※空調室を設置しない場合は機械の露出があり、空調室を設置する場合もその分のスペースを確保するため間取りの自由度に制約が生じます。また、輻射パネル型は室内に輻射パネルを設置する必要があります。

全館空調のデメリット

全館空調のメリットは下記の6点です。

  • 導入費用が高い
  • 乾燥しやすい(送風ありの場合)
  • メンテナンスが面倒(送風ありの場合)
  • ニオイがこもりやすい
  • 稼働音が気になりやすい
  • 故障すると、家中の冷暖房が止まってしまう

導入費用が高い

全館空調の費用は、タイプやメーカーによって価格に大きな差があります。

例えば、エアコン3台と床暖房を入れた場合の導入費用が約150万円として、これと全館空調を比較すると、同等もしくは全館空調の方が割高になります。 

生涯コストでご検討を

生涯コストとは、導入費用+ランニングコスト+維持費(クリーニング・修理/交換)の合算です。

たとえ導入費用が安くとも、ランニングコストが高かったり、耐久性が低く修理/交換費用がかさむのであれば本末転倒ではないでしょうか。
 
今や空調システムは健康で快適な暮らしを送る上でかかせないアイテムですから、ぜひ生涯コストで比較して、ご自身の生活を豊かにする空調システムはどれなのか、しっかり見極めていただきたいと思います。

乾燥しやすい

送風があるタイプの全館空調は、設定温度よりも高温度の風が吹き出すことで、その風は湿度が周りより低い空気になります。

部屋の湿度は変わりませんが、気流が当たることによる乾燥の影響で、喉の痛みや、乾燥肌を引き起こす可能性があります。

メンテナンスが面倒

全館空調のメンテナンスには2種類のデメリットがあります。

  1. 利用者によるフィルター掃除が必要
  2. 業者による定期的なメンテナンスが必要

利用者によるフィルター掃除が必要

エアコン同様、全館空調もフィルターにホコリが付着すると冷暖房効率が低下しますので、2週間~1カ月に1度、フィルターについたホコリの除去が必要です。

フィルター清掃

天井吹き出し型の場合、外の空気をフィルターを通して取り込み、ダクトを通して家中に空気を送るため、外気を取り込む部分のフィルターに大量の虫の死骸が付着した気持ち悪い光景をインターネットでもよく目にします。

この部分のフィルター掃除は業者が行い、住人は掃除不要としているメーカーもありますのでチェックしてみてください。
 
住人が行わなければならない室内のフィルターが天井など手が届きにくい場所にあって、フィルターの取り外しに苦労する人も多いようですので、掃除が必要な場所や方法、頻度は検討段階でしっかり確認が必要です。

無風の全館空調ならフィルター不要

すべての全館空調にフィルター掃除が必要というわけではありません。

風を伴わない輻射熱による冷暖房方式、輻射パネル型の無風タイプはフィルターがありませんので、パネル表面の拭き掃除が基本のお手入れです。

※輻射パネル型には有風タイプと無風タイプがあります。

業者による定期的なメンテナンスが必要

こちらも冷暖房方式やメーカーによって内容が異なりますので、事前に確認が必要です。

メーカーによっては事前に詳しい説明がなく、年間約5万円ものメンテナンス費用がかかることを住み始めてから知ったという話もあります。

一般的に、フィルターを使用している場合は、最低でも1年間に1回のフィルター交換が必要になります。

メーカーによってはフィルター費用だけなく、点検・交換費用も発生しますので注意しましょう。

そして、ダクトを経由して冷暖風を送る場合、ダクト清掃についても頭の片隅においておきましょう。

きっと「ダクトの清掃は不要」とメーカー側は説明するでしょう。しかし、実際はどうなのか?ここで多くは語りませんが、事前に情報をチェックしてみることをおすすめします。

ニオイがこもりやすい

ニオイについては、換気システムがしっかり稼働していれば、しばらくすると解消されると思います。また、メーカーの努力でニオイを除去するフィルター性能も向上しています。

それでも、ニオイが気になる場合は、窓を開けて換気するのが一番だと思います。ちなみに、風を伴わない輻射パネル型(無風タイプ)はニオイが家中に広がることはありません。

稼働音が気になりやすい

室外機の稼働音は設置場所によって差がありますので、寝室の近くに室外機を設置しないといった対策があげられます。それでも、音が気になる場合は、室外機の故障も考えられます。

室内の音については、空調室の有無によって変わりますし、高気密住宅の場合、室内の音が響くといったことがあるようです。

いずれにしても、室外機の設置場所や空調室の位置などは、家の設計段階から気に留めておくようにしましょう。

故障すると、家中の冷暖房が止まってしまう

全館空調の室外機は、エアコンと同様に寿命が10~15年程度とされており、経年劣化による故障リスクは避けて通れません。

また、ダクト交換が必要となった場合の工事内容や日数、費用も検討材料として事前に把握しておくべきです。

温度が一括ではなく、個別管理の場合はあてはまらないかも知れませんが、まずは事前にメーカーに全館空調の寿命、修理費用や入れ替え費用を確認することが重要です。

もちろん、予期せぬトラブルで故障する場合もありますので、メーカーの保証期間もあわせて確認しておきましょう。

ほとんどのメーカーでは定期メンテナンスを推奨しており、1年~10年の保証期間を設けています。

全館空調は要らない?後悔する?

インターネット上で調べると、全館空調に対してネガティブな口コミを目にします。

その要因は全館空調システムの特性に依るものと、利用者の誤解に依るものに大別されます。

前者はデメリットで解説しましたので、後者の利用者の工夫で解決できる要因について解説いたします。

全館空調の電気代は高い?

「電気代が高い」といった声があがる理由は下記の大別できます。

  1. 24時間付けっぱなしにしなければならないから
  2. 365日付けっぱなしにしなければならないから
  3. 不在時や、使用していない部屋も空調管理するのがもったいないから

これらの声に共通して言えることは、「全館空調の正しい使い方を理解していない」ということです。では、一つずつ見てみましょう。

24時間付けっぱなしにしなければならないから電気代が高い?

24時間付けっぱなしにすることで「電気代が高くなってしまうのでは?」との声を見かけますが、それは誤解です。

実は、全館空調やエアコンといった空調設備は、オン/オフを繰り返すよりも付けっぱなしの方が電気代が安くなります。

なぜなら、空調設備で最も電力負荷が高くなる(≒電気代がかかる)のは、電源を入れた時だからです。

例えば、エアコンの起動時は安定時に比べて6倍(夏場)〜10倍(冬場)もの電力量がかかると言われています。

一旦、設定温度まで到達すると安定時に入り消費電力も落ち着きますので、1日の間で電源のオン/オフを繰り返すより、ずっと付けっぱなしの方が電気代を抑えられるのです。

全館空調の上手な使い方:タイマー機能を活用

ほとんどの全館空調にはタイマー運転機能が搭載されています。これは時間単位で設定温度を上げたり、下げたりすることが出来る機能です。(メーカーによっては省エネ運転モードも搭載されています。)

このタイマー機能を有効活用して、不在時は設定温度を必要最低限に抑えたり、寝る時間に合わせて設定温度を低くしたりと工夫することで、電力量を最小限に抑えることができます。

適切な温度設定をすれば、電気代をエアコンと同等、もしくは、それよりも低くく抑えることも可能で、「全館空調にしてから電気代が下がった!」というお声があることも事実です。

365日付けっぱなしにしなければならない?

これについては声を大にして申し上げたいのですが、全館空調は365日つけっぱなしにする必要はありません。

冷暖房がなくても快適に過ごせる季節は全館空調を使わなくてもいいのです。

不在時や、使用していない部屋も空調管理するのがもったいない

この理由は、部屋間の温度差を無くして健康リスクを抑えることとのトレードオフになります。

もし全館空調を導入しない場合は、冬場はトイレや脱衣所に電気ヒーターを置いたり、エアコンがない部屋にはストーブ、ファンヒーター、ホットカーペットやこたつを置いたりするでしょう。

しかし、それでも廊下の寒さは我慢するしかないですし、これはヒートショックの危険性を大いに秘めています。また、脱衣所に置いた電気ヒーターによる火災の危険性、幼い子供のやけども心配です。

夏場も、脱衣所などに扇風機やミニクーラーを置いたりするかも知れません。

それでも、例えばキッチンでは汗をかきながら火を使って料理しなくてはならなかったり、エアコンが効いている部屋から出た時のモワッとした不快感は避けられないでしょう。

こういった家の中の温度差による煩わしさを全館空調であれば解消できるますので、費用面だけでは比較できない全館空調ならではの快適性のメリットがあることも忘れてはなりません。

また、電気ヒーターや扇風機などの補助的な電化製品にももちろん電気代はかかります。

全館空調を導入しない場合、複数の冷暖房器具を併用することが大半ですので、それらのトータルコストで比較することが重要です。

温度を個別管理できるメーカーも

メーカーによっては住宅内の温度を個別管理することも可能なので、健康リスクの低減がそこまで重要でない世帯では個別管理機能も視野に入れましょう。

全館空調は乾燥する?メンテナンスが面倒?

上述したとおり、送風タイプの全館空調システムでは、風が直接当たることによって乾燥したり、構造上フィルターが要るのでフィルター掃除の手間やフィルター交換の費用がかかります。

レイアウト次第で直接風が当たることを避けることはできますが、根本的には解決できません。根本的に解決するためには、送風の仕組みを無風の仕組みに変える必要があります。

乾燥やメンテナンスのコストが気になる方は、無風タイプの全館空調システムをぜひ検討してみてください。

全館空調の冷暖房方式

全館空調の冷暖房方式は4種に分類されます。

  1. 天井吹き出し型
  2. 床下冷暖房型
  3. 壁掛けエアコン型
  4. 無風型(F-CON)

ここで押さえておくポイントは、「送風を伴う(1)~(3)の場合、フィルター掃除が必要」ということです。

天井吹き出し型

小屋裏や天井に専用のエアコン+換気扇を設置し、そこから、家全体へダクトを通じて、各部屋の吹き出し口から冷暖風を送ります。(費用相場:150万~300万円)

全館空調-天井吹き出し型
全館空調-天井吹き出し型

床下冷暖房型

床下の基礎部分を断熱し冷暖気を蓄熱し、床からの輻射熱とガラリによる送風で家全体を冷暖します。

また、床下に暖房のためのエアコン、小屋裏に冷房のためのエアコンを付けるパターンもあります。(費用相場※:100万~150万円)

全館空調 床下冷暖房型
全館空調 床下冷暖房型

壁掛けエアコン型

1台の壁掛けエアコンの能力を使い、各部屋の間仕切りに採風場所を設けて冷暖風を送り、家全体を冷暖します。(費用相場:150万円以下)

全館空調 壁付けエアコン
全館空調 壁付けエアコン

無風型(F-CON)

室内に冷温水が流れるパネルを設置し、パネルからの輻射熱で家全体を冷暖します。(費用相場※:個別100万円~、全館200万円~)

全館空調 無風型(F-CON)

全館空調の販売方式

ハウスメーカー系の全館空調

ハウスメーカー系の全館空調は、ハウスメーカーと全館空調メーカーがセットになります。

そのハウスメーカーで家を建設することが決定した場合、他メーカーを選択する余地はなく、セットになっている全館空調しか導入することが出来ません。

全館空調とセットになっているハウスメーカーでは、ビルダーフリーの全館空調を導入することができないのでご注意ください。

ハウスメーカー系の全館空調メーカー一覧

冷暖房方式メーカー全館空調システム
天井吹き出し型
三井ホームスマートブリーズ
三菱地所ホームエアロテック
住友林業エアドリーム ハイブリッド
積水ハウスエアシーズン
セキスイハイム快適エアリー
ミサワホームエアテリア
パナソニックホームズカーサ プレミアム
トヨタホームスマート・エアーズ
壁掛けエアコン型アイダ設計ブラーボゼネクト

 

ビルダーフリーの全館空調

ビルダーフリーの全館空調は、工務店がその全館空調メーカーの加盟店(販売代理店)となって設計、施工、アフターフォローまでを担当します。

全館空調は単体の家電製品と違って家全体に関わる設備のため、ビルダーフリーのメーカーは安全面やメンテナンスの観点から基本的に加盟店制度を採用しています。

ビルダーフリーの全館空調メーカー一覧

冷暖房方式メーカー全館空調システム
天井吹き出し型
三菱電機エアリゾート
デンソーパラディア
アズビルきくばり
桧家住宅Z空調
オーエムソーラーパッシブエアコン
床下冷暖房型オンレイECO床暖
壁掛けエアコン型ヤマト住建YUCACOシステム
無風型FUTAEDAF-CON

全館空調システムの費用感

費用の相場

全館空調のメーカーは現在15社以上ありますが、価格帯は100万~300万円以上とメーカーによって大きな差があります。

それは仕組みの違いにより空調設備そのものにかかるコストだけでなく、空調室や、配管の設置、配線の整備など建築側のコストがかかるからです。

費用の変動要素

メーカーによって価格差が生じる理由は、主に3つです。

  1. 空調室設置の有無
  2. 温度管理が一括か、個別か
  3. 専門業者の派遣の有無

空調室設置の有無

居室内に空調室を1部屋設けるメーカーもあります。

温度管理が一括か、個別か

基本は家全体の温度を一括で管理しますが、個別(各居室ごと)に温度設定出来るものもあり、その分、費用が高くなります。

専門業者の派遣の有無

配管工事、水抜き工事など高度な技術を要する工事について専門の施工業者を派遣するメーカーもあります。

段階的な見積チェックを

建築側のコストについては、家の仕様によって1軒1軒異なるため、見積の段階で細かな費用の算出は難しいかもしれません。

おおよその金額はハウスメーカーや工務店の過去の導入実績を元に回答することは可能だと思いますので、ぜひ確認してみてください。

 後悔しない全館空調メーカーの選び方

全館空調メーカーを単純比較することは難しいです。

  1. 冷暖房方式によって様々なタイプがある
  2. 販売方式によって導入できるタイプが限定される
  3. 価格はシステムの仕組みや制御、工事内容によって差が生じる

以上の通り「全館空調」といっても一括りにまとめられないことから、複数の全館空調メーカーを比較検討し、費用面・技術面など多角的な視点で選定することが重要です。

全館空調はエアコンのように買って取り付ければOKでななく、効果を最大限に引き出すためには住宅性能(断熱、窓)にも言及せざるをえない、まさに建築とセットの空調です。

家が一生に一度の買い物であるように、全館空調も決して安い買い物ではないからこそ、導入に関しては、慎重に慎重を重ねて判断していただきたいと思います。

では、ここからは全館空調メーカーを選ぶポイントをまとめていきます。

全館空調システムのメーカー選定基準

  • 冷暖房方式(天井吹き出し型/床下冷暖房型/壁掛けエアコン型/輻射パネル型)
  • 販売方式(ハウスメーカー系/ビルダーフリー)
  • 温度制御方法(一括管理/個別管理)
  • 加湿、除湿、空気清浄機能の有無
  • メンテナンス(日々のお手入れ/業者メンテナンス)
  • 保証期間

各項目の内容については先述した通りですので、説明は割愛します。

冷暖房方式のポイントは、風があるか(有風)、ないか(無風)で大きく分かれるところでしょう。

そして、販売方式については、少しご留意いただきたいです。

全館空調の導入を検討するのは家を新築、または、リフォームするタイミングかと思います。

大半の方はまず最初にハウスメーカーの比較から入り、全館空調メーカーの検討は後回しになると思います。

ですから、すでにお気に入りのハウスメーカーが決まっていて、そのハウスメーカーと全館空調がセットになっている場合(ハウスメーカー系)は、他メーカーの全館空調を選択することはできません。
 
メンテナンス、アフターサービス、保証期間も、導入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、必ず事前に確認するようにしてください。

突っ込んだ質問に対して、明確な回答がなかったり、難色を示すような担当者でしたら、絶対にやめておいた方がいいです。

ハウスメーカーの選び方

住宅の気密、断熱性能が低いと全館空調の十分な効果は期待できないとお伝えしました。

気密、断熱性能が低い家とはどんな家かというと、いわゆる、夏は暑くて、冬は寒い家です。

せっかく家を新築、リフォームするのでしたら、家の暑い、寒い問題は解消すべきです。

以下に、高気密・高断熱であるかの判断基準をご説明します。

Ua値(外皮平均熱貫流率)

住宅の室内から、壁や床、窓を通じてどれくらい熱が逃げてしまうのかを示した数値で、数値が低いほど省エネ性能が高い住宅です。

Ua値はあくまでも外皮(壁、床、天井)の熱損失であり、換気熱損失や内部の熱の量、窓からの熱損失は含まれません。

ですから、Ua値が低いからといって温熱環境が優れているわけではないことに注意しましょう。

ηAC値(夏場の平均日射熱取得率)

住宅の室内に太陽の光がどれくらい入ってくるかを示した数値で、数値が大きいほど太陽の熱が入りやすい住宅です。

家の熱の出入りの半分以上は、窓からの流入によるため、Ua値の方が認知度が高いですが、重要度はむしろηAC値のほうが重要だと考えています。

断熱等性能等級

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)で規定された「省エネ性能」を表す基準で、2022年10月からは等級1~7までとなり、等級が高いほど、断熱性が高いことを示しています。

ちなみに、2025年以降は全ての新築住宅の省エネ基準適合化が義務化され、高気密、高断熱が標準となります。

つまり、下図の等級4を満たしていない場合は既存不適格となって建築できなくなるということです。

ですから、2025年より前に家を建てる場合は、少なくとも等級4は満たす必要があるでしょう。

画像引用元:日経クロステック

ZEH対応

ZEH住宅は、太陽光発電による電力創出・省エネルギー設備の導入・外皮の高断熱利用などにより、生活で消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅を指します。

国は現在、このZEHの普及を強く勧めており、「ZEH」を新築、購入する方に対し、補助金を交付しています。ZEH住宅として認められて補助金を受けるためには、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録されたビルダーやプランナーによる住宅を購入する必要があります。

無風の全館空調システム「F-CON」

最後に、弊社が開発する無風の全館空調システム「F-CON」を例に、上述のメーカー選定基準に沿ってご紹介いたします。

風の出ない全館空調 「F-CON」
風の出ない全館空調 「F-CON」

F-CONの冷暖房方式

F-CONは「輻射パネル型」の全館空調システムです。室内に冷温水が流れるパネルを設置し、パネルからの輻射熱(無風)で家全体を冷暖します。

その最大の特徴は、無風で冷暖房できることです。

快適で健康的な空間づくりだけでなく、送風による下記デメリットを解決することができます。

  1. 送風による乾燥
  2. フィルター掃除の手間・コスト
  3. 専門業者によるメンテナンス

F-CONの販売方式

F-CONはビルダーフリーの全館空調システムです。加盟工務店にて設計、施工、アフターフォローまでを担当します。

さらに、空調性能を最大限に引き出すための温熱環境コンサルティングを実施し、ご家庭にあったプランをご提案しております。

F-CONの温度制御方法

F-CONは一括管理・個別管理のどちらにも対応可能です。

F-CONの加湿、除湿、空気清浄機能

F-CONは加湿・空気清浄機能を搭載しておらず、除湿も結露による自然除湿のみとなります。

無風タイプであるため、送風による乾燥や、ホコリやウィルスの飛散が起こりづらいため、送風タイプのように加湿・空気清浄機能を後付けする必要性が低いためです。

F-CONのメンテナンス

F-CONのお手入れは、夏場のパネルの拭き掃除と、結露の受け皿となる部分にたまったホコリを取り除くのみです。(結露水は外に排出されます。)

送風タイプに必要なフィルターやダクトが無いため、利用者によるフィルター掃除も、専門業者による清掃も、フィルター交換も不要になります。

F-CONの保証期間

輻射パネルの保証期間は1年ですが、50年以上の耐久性を部品メーカーにて立証済のものを利用しております。(過去、経年劣化による交換歴はありません。)

また、室外機は10年まで延長保証(住宅用の場合)、その間の保証対象の修理はすべて無料(一部例外はあり)で行っております。

なお、修理受付窓口は、365日(9~19時)受付しております。

F-CONをおすすめする方

全館空調システムのデメリットの内、下記の懸念が強い方はF-CONをおすすめします。

  1. 乾燥しやすい(送風ありの場合)
  2. メンテナンスが面倒(送風ありの場合)

F-CONは無風で冷暖房できるため、送風の仕組みが原因である上記のデメリットを解決することができます。

また、無風であることは、家の中のホコリやウイルスを巻き上げないので、「空気環境を清浄に保てるので衛生的」という全館空調のメリットを重視する方にもおすすめです。

F-CONが実現する快適で健康的な空気環境は、住宅やマンションだけでなく、様々な施設に導入され、多くの支持をいただいております。

シビアな衛生環境が求められる病院や、能率性を求められるオフィス、宿泊者の体験を重視されるホテル、その他に公共施設・研究施設・学校・銀行などに導入されています。

詳しくは「輻射式冷暖房「F-CON」の導入実績」へ

F-CONの快適で健康的な空気環境にご興味のある方は、全国各地にある体感モデルハウスでぜひ体感してみてください。

まとめ

ハウスメーカーと全館空調メーカー選びで共通して言えることは、「信頼できる会社かどうか」ではないでしょうか。

家づくりはもちろん、全館空調についても分からないことだらけですから、性能やデザインも重要な要素ですが、決め手は「評判・クチコミ・実績」という声は非常に多いです。

どんなに優れた住宅であっても、営業担当者が話しづらかったり、雑な対応をされたりすると、不信感でいっぱいになりますが、家を建てて住み始めてからも、メンテナンスなどでハウスメーカーとのやり取りは続きます。

同様に、全館空調は建築とセットなので、エアコンのように売ったらおしまいではなく、修理、点検などでメーカーや、工務店とは長い付き合いになります。
 
ですから、最終的には「その会社は信頼できるかどうか」なのです。

信頼できるかどうかの基準は人それぞれですが、おおよそ下記のチェックポイントで判断できるかと思います。

  • 自分たちの家づくりに対して、真摯な態度で相談にのってくれるか
  • 的を得たアドバイスをしてくれるかどうか
  • その会社が掲げる家づくりに対する想いや姿勢に共感できるか
  • アフターサービスが充実しているか

売ったら終わりではなく、一生涯サポートしてくれる会社を選ぶことは後々のトラブルを回避することにもつながるのです。

無風の輻射式冷暖房システム「F-CON」

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