輻射式冷暖房は、室温と輻射環境をコントロールすることで温熱環境の快適性を総合的に高めるシステムです。
より快適で上質な温熱環境を実現するためには、設置規定を守り正しく設置する必要があります。
工事を担当頂く会社、職人の皆様は、現場での工事都合や配管の取り回しによる変更をされる際は、規定を遵守頂くようにお願いいたします。
本記事では、FUTAEDA株式会社が開発したF-CONの輻射パネル(2022年モデル)を例に、自立式輻射パネルの設置規定についてご紹介します。この規定は各社異なります。
輻射式冷暖房には、主に「自立式」と「天井式」の2種類がありますが、現在FUTAEDA株式会社では東京大学生産技術研究所と検証実験を行った結果、2022年現在、自立式のみの発売をしています。
目次
自立式輻射パネルの設置規定
FUTAEDAの輻射パネル(自立式)には、「パーテーションパネル」と「壁付けパネル」の2種類があります。いずれも材質はアルミ製とステンレス製のハイブリットタイプです。
輻射パネル(自立式)は、床と天井をコーチボルトで固定し据え付けますが、パネルの設置位置を誤ると、結露やカビが発生する原因になるのでご注意ください。
また、業界最高峰の放熱量を誇る輻射パネルの性能を最大限活かすためにも、下記の要件を守って設置を計画してください。下記の記載要件は、FUTAEDA株式会社がシミュレーションソフトや実際の試験などをもとに作成した数値であり、各メーカー設置要件は、異なりますのでご留意ください。
共通する設置要件
- 各パネルごとの設置規定を満たすこと(両面・片面)
- 冷温水配管・ドレン配管を通すことができること
- 床にコーチボルト(50mm)がきくこと
- 建物の内部へ設置すること
加えて、建築側の工事として下記が必要です。
- 点検口の設置:全てのパネルの上部にアクセスできるよう点検口の作成(400mm角を推奨)
- 天井面、壁面(片面パネルのみ)の下地補強
パーテーション型の設置規定
パーテーションパネルは設置する向きによって、設置規定を設けています。
後述する規定内においても、パネル周辺部で空気滞留が起きやすい場所(換気の給気口も含む)及びパネル裏の壁内が高温・高湿になる場所への設置は避けてください。
垂直設置

「垂直」設置では、配管は、壁に近いほうを「戻り」、遠いほうを「往き」に接続してください。壁とは、50mm以上の離隔距離をとってください。
平行設置

輻射パネルを平行設置する場合、パネル並行面の壁が外壁の場合は400mm以上、内壁(間仕切り壁)の場合は300mm以上の離隔が必要です。
L字(コーナー)設置

平行面の壁から500mm以上離れていれば、垂直面は50mm以上の離隔で問題ありません。

垂直面の壁から500mm以上離れていれば、平行面の壁は外壁400mm以上、内壁(間仕切り壁)300mm以上の離隔で問題ありません。
コの字設置

コの字設置の場合、平行面の壁、垂直面の壁、いずれも500mm以上の離隔が必要です。
パーテーションパネルは「垂直設置」が最も効果が上がりやすい

パーテーションパネルが最も効果を発揮するのは垂直設置です。
パネルの輻射量は輻射熱として50%が空気へ流れるため、片面を壁側にすると反面しか放射できず、両面放射するときと比べ25%の輻射量を損することになります。
壁付けパネルの設置規定
壁付けパネルを設置する際、冷温水配管はパネルの正面向かって、右側が往き、左側が戻りとなるように接続してください。
また、湿気が発生しやすいところ(換気の給気口近く含む)へのパネル設置は避け、パネル設置後に下記の隙間を確保できなくならないよう、物等を置かないように注意してください。
片側が壁等の場合

片側が壁等の場合は、300mm以上の隙間を確保してください。
両側が壁等の場合

両側が壁等の場合は、それぞれ300mm以上の隙間を確保してください。
パネル前に壁・物等がある場合

パネル前に壁や物等がある場合は、それと300mm以上の隙間を空けてください。
ただし、畳やコピー機等の湿気の影響を受けるものとは500mm以上の隙間を確保してください。
パネル横並び、または両側が柱等の場合

パネル横並び、または両側が柱等の場合は、間隔を50mm以上空けてください。
また、柱がパネルの面より前に出る場所には設置しないでください。
内壁の裏側の部屋にもパネルを設置する場合

内壁の裏側の部屋にもパネルを設置する場合は、まず、真裏への設置は避け、横にずらして設置してください。その際、300mm以上の離隔距離を開けてください。
まとめ
輻射パネルの効果を最大化するためには、各メーカーが定める設置規定を守ることが重要となります。また、適切な設置方法・設置箇所を決めるためにも、事前の温熱環境の設計も重要な工程となります。
上記の通り、輻射式冷暖房はエアコンと比較して導入工程や設置方法が大きく異なります。特に温熱環境の設計の有無は、導入ハードルを高める一番の難所です。
自社研究施設を持ち、数値的根拠を重視して研究開発に臨む当社ならではの知見で、より良い空間づくりをサポートいたします。
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